鷹の選択とプロゴルファーの決断
2016年02月12日
先日あるテレビ番組を観ていたら、琴奨菊関が励まされた動画について紹介されていました。それが、「鷹の選択」でした。オチとしては、それは嘘、ということでしたが、内容はとても深いものでした。
・鷹は70年生きられるが、40年経った頃、運命の選択を迫られる。
・40年経った頃には、クチバシが曲がり、上手く獲物が捕食できなくなる。
・爪が衰え、握力も下がり、獲物を捕れなくなってしまう。
そこで何もしなければ、座して死を待つのみ。そこで行動を起こす鷹のみ、残り30年生きることができる。
行動を起こした鷹は、山の頂へ行き、自らのクチバシを破壊し、爪を剥ぎます。すると、新しいクチバシと爪が生えてきて、昔のように獲物を捕らえることができる。
この話を聞いたとき、プロゴルファーの話を思い出しました。
私が新人のとき、ハウスメーカーでそれなりに実績を上げていたときの話です。月曜日の朝は、地獄の営業会議でした。
支店長が各拠点の営業担当一人ひとりの行動をチェックし、動きが悪ければ、狙い撃ちされ、一時間近くさらし者にされるのです。このさらし者となった人は、あらゆる角度から仕事の取組みを否定され、最終人格否定までされ、プライドをズタズタにされる厳しいものでした。
私はほぼスルーでしたが、ある時当時10年以上先輩の主任が、ターゲットにされました。その先輩は、人当たりもよく、後輩の面倒もよく見てくれた人格者でした。私が影響を受けた人の一人でした。
その先輩がスランプになり、実績が上げられない状況で、会議でボコボコにされている最中に、支店長からプロゴルファーの例え話が出てきたのでした。
プロゴルファーは、ある時期から急に勝てなくなります。若い時に有名だった選手が、なぜか優勝争いにも入ってこれなくなるのです。
これは、若いころにできたスウィングが、体力の衰えによって微妙にずれてきて、数ミリ単位で当たりが変わってくるからと言われています。
わずかな違いですから、当人は自覚症状はあまりなく、そのうち戻るだろうと考えるのですが、回復するどころか、益々悪化してきます。そこで初めて、自分が衰えた、ということに気付くというのです。
ジャンボ尾崎の事例は有名な話です。
20代では無敵だったジャンボも、30代では全く勝てませんでした。通常、多くの選手はそこで消えていくのですが、ジャンボは不屈の闘志で体力を強化、スウィングを改造し見事復活します。
そこから10年、また無敵のジャンボが帰ってきたのですが、困難を乗り越えたことで何よりメンタルが強くなったと言われています。
社会人も同じで、年齢を重ねると昔のようにいかなくなる時期がやってきます。人材コンサルタントでいえば、相手となる求職者が必然若くなってきますから、相手から敬遠されることも増えてくるでしょう。
何より、昔のように動けなくなってきますし、考え方も古くなって、時代に合わないという現象も起こるでしょう。
20代半ばで、先輩のつるし上げを目の当たりにして以来、人の価値は劣化する危険性があることを常に意識しています。このままでは自分が必要のない人間になってしまう、そうならないためには何をすればいいのだろうか、と。
求められる人材とは、
・人に付加価値を提供する人
・問題点を解決してくれる人
・多くの困難を乗り越え、克服した事例を有している人
と考えています。
そう、今私は山の頂でクチバシを砕いているところです。