ビートルズがデビューから売れるまで
2013年04月01日
前回のコラムの続編です。今回は、EMIと契約し、売れるまでの間について書きたいと思います。
晴れてメジャーデビューのきっかけを掴んだビートルズですが、ここでいくつか越えなければいけない壁がありました。
まずはドラマーの変更です。
プロデューサーのジョージ・マーティンは、ビートルズの才能を高く評価する一方、問題点についても指摘します。それがドラム担当のスキル不足です。曰く、バンドはドラマーが下手だと締まらない、ということです。
当時のドラム担当は、ピート・ベストでした。
ビートルズがリバプールで活動していたとき、メンバーでの一番人気はこのピートであったと言われています。特に彼らの演奏を聴き、絶叫していたファンのほとんどが、ピート目当てでした。
しかしながら、他のメンバーのスキルにはついていくことができず、これはメンバー自体も感じていたことでした。そこで、当時他のバンドに所属し、時々演奏に参加もしたことがあるリンゴ・スターに白羽の矢が立つことになります。
リンゴは、デビュー曲、Love me doでドラムを叩いていますが、当時は一時的に参加しただけ、とも言われています。(リンゴが語っていた映像による)一方、これがチャンスであると考え、真剣にビートルズ参加を切望していたとも言われています。
実はこのLove me doは、ツーテイク存在しています。
リンゴが叩いたバージョンと、スタジオドラマーが叩いたバージョンです。シングルで発売されたものがリンゴによるもの、アルバムPlease Please Meに収録されているのがスタジオドラマーによるものになります。直前まで自分が叩いたバージョンになるかわからなかったリンゴは、シングルが発売されレコードの針を落としたとき、自らのバージョンと知り、ホッと胸をなでおろしたと言われています。
次にヒット曲誕生までです。
デビュー曲Love me doは、そこそこ売れたものの、思ったほどの評価を得るまでには至りませんでした。ジョージ・マーティンは彼らのオリジナル曲で勝負をと考え、その中でも一番良いものがLove me doと思ったということです。
しかし、結果が得られないのであれば、まずは売れることを目標として、オリジナルでない曲でのレコーディングを画策します。そこで録音したのが、How do you do it?という曲です。
アルバムアンソロジーVol.1で聴くことができますが、とてもポップで明るく、曲としての完成度は高いと感じました。しかしながら、メンバーはこれを良しとしなかったのです。あくまでもオリジナル曲で勝負したい、と切望したといわれます。
それをジョージ・マーティンに伝えると、では自分たちで負けない曲を作ってこい、とハッパを掛けます。そこでつくてきたのが、Please Please Meをテンポアップしたバージョンでした。
大変なヒットとなり、これで一躍ビートルズがイギリス中に知れ渡ります。
その後、ヒット曲が出来れば、次はアルバムだということで、1日のレコーディングでデビューアルバムPlease Please Meを録音します。
このように、売れるためには切り捨てなければいけないこと、変えなければいけないことなどもありますが、絶対譲れないスタイル、こだわりも捨ててはいけない、というエピソードとして紹介させていただきました。