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法科大学院制度の崩壊?

2014年04月04日

司法試験を受けるためには、原則法科大学院を卒業しなければなりません。

大学を卒業後、基本3年コースに進み、司法試験を受けるための勉強をするのですが、経済面での負担が大きく、大変非難されていた制度でした。しかも、卒業後、5年のうちに3度しか受験することができず、それに失敗すると、受験資格を失ってしまうことになります。それまで受験にかけた時間とコストなどを考慮すると、ここであきらめなければいけないことは、大変酷な宣告でもありました。

その解決策として、予備試験制度が2011年より導入されました。この試験に合格すると、法科大学院卒業と同等程度の知識があるものとみなされ、司法試験受験資格を得ることができる、という、いわば、救済処置となります。

さて、この予備試験には、受験資格というものは特にありません。高いレベルでの知識があれば、大学在学中でも受けることができます。そして受験資格を与えられれば、法科大学院卒業生と同様に、司法試験にチャレンジすることができます。

救済措置として考えられていた予備試験が、現実的にはもっとも近い合格への道となりました。例えば、合格率だけを考えてみます。2013年度の合格率でいうと、予備試験組は受験者数167名(うち短答式合格者167名)のうち、合格者120名で、合格率72%となり、法科大学院でトップであった慶應義塾大学の受験者数354名(短答式合格者295名)合格者201名56.8%を大きく上回っています。

これはどういうことを意味するのかというと、恐らく、優秀な受験生は今後法科大学院へ進むという選択をせず、予備試験で受験資格を得、大学卒業後最短で司法試験の合格を目指すということです。単純に、2年~3年早く合格することができますから、社会に出るのも比して早くなります。

このことは、就職先として考えられる大手法律事務所からのスカウト対象にもなります。予備試験組のほうが優秀だと考えるからです。そして20代半ばで入所してからエリート教育を受け、30歳までに米国の大学院へ進み、米国弁護士資格も得、提携先法律事務所の就業なども経験できる、というラインに乗ることができます。

そうなると、就職という観点で見ても、予備試験組が有利になることは必然となり、法科大学院へ進む受験生は、確実に減少する、そして制度自体が崩壊する、ということになってしまうと考えます。

現在の問題は、司法試験に合格して弁護士資格を得ても、就職先がないということでした。弁護士マーケットを考えてみると、渉外弁護士として海外との取引などを扱える(当然英語は流暢)方が希少性があり、給与も稼ぐことができます。法科大学院卒で、年齢も高く社会人経験もなく、英語力が弱い弁護士が取り扱える案件は非常に限られます。

これは選択の余地はないくらい、明らかな差です。

法科大学院制度崩壊は秒読み段階だと思いますが、考えてみれば、このほうがフェアであるかもしれません。法科大学院へ通う学費、それ以外に受験予備校に通う授業料は莫大ですし、その間働いていない逸失利益などを考えると、無理がある制度でした。これで合格率が高ければ救いようがありますが、20%くらいに抑えられていると尚です。

 日本に適した制度へと変革する流れだと思いますが、この制度に振り回された多くの受験生はこの状況をどう捉えているか、考えるだけで心苦しくなります。