強気でいられるのは3か月まで
2013年05月27日
以前、とりあえず話が聞きたいの違和感、というコラムを書きました。その続編です。
転職活動は、大きく2パターンあります。
会社に勤めながら行うか、辞めてから行うです。会社に勤めながら活動をする人は、基本、転職活動は腰を落ち着けて行うことができます。良い企業で、自分が望む仕事でない限り、他社へ転職する理由はありません。見つかるまでは現職で頑張るとなります。
一方、会社を辞めて活動している人は、ある程度デットラインを決めて転職活動をしないといけません。
この会社を辞めて活動をしているパターンは、理由は色々あります。会社都合で仕事を失った方、早期退職制度に応募して退職された方、就業しながらであると時間が取れないため辞めた方、勤務したまま活動を行うと、現職に対して不義であるため辞めた、会社が嫌いで辞めた、人間関係で苦労して辞めた、などなど。
理由はそれぞれですが、採用する側からすると、どれも大した違いはありません。理由は関係ないのです。そんなことは無いだろう?と反論があるかもしれません。事実、性格面の問題で会社を辞めた人と、やむ得ない事情で辞めた方とは、プロセスにおいて大きく違い、一緒にされたくない、と候補者側は思うでしょう。
しかしながら、人事担当者も、部門長も、斜めから書類選考や面接をする傾向があります。それは候補者が嘘をついている可能性も考慮しなければいけないためです。よって、大きくは辞めた理由はどうでも良い、となります。
さて、理由はともあれ、会社を辞めた方が転職活動を行うと、どうしても最初の1か月間は強気になる傾向があるように思います。後ろめたい理由もないし、仕事にも自信を持っている、新しい環境でも活躍する自信もある、というのが基本姿勢であり、だからこそ、自分にふさわしい仕事をじっくり探したい、ということです。
その姿勢は間違っていないと思います。今まで所属企業で活躍されていたのですから、それを誇りにするべきだし、そのくらい自信がないと、相手に訴えるものがないからです。
事実、辞めてからしばらくは、紹介会社から案件がいくつか紹介されます。そして応募し、書類も通過する、ということが続きます。
『なんだ、案件はあるものだな』、『そのうちどこかに決まるだろうな』
そんな気持ちにもなってきます。
しかし、これが落とし穴なのです!
その気持ちのままでいると、ろくな準備もせず面接に伺うことになってしまいます。いつでも案件があり、書類も通過するという自信にもなるからです。
しかしながら、自分自身の棚卸も不十分なうえ、面接企業の情報もろくに調べず、いわばナメた姿勢で面接に臨まれますと、当然ながら、そのような姿勢ですから、上手く実力を発揮できず、NGの結果となってしまいます。
さらに困ったことに、だいたいの場合、このような面接では、なぜ落ちたか理由が分かりません。面接官も笑顔で接してくれ、何となくいい雰囲気で面接が進む傾向にあるからです。こういう場合、大体において5分くらいで『NG』というジャッジがされています。そして、あとはどう穏便に面接を終わらせようかと考えているため、大した突っ込みもない、候補者からすると、悪い雰囲気を感じない面接、となるからです。
よって、そのNGが2社3社と増えていっても落ちた理由が分からず、そのうち何とかなるだろうという気持ちから抜け出せなくなります。なぜ落ちたのかという検証もできないまま、面接が進みますから、当然のことながら面接は全滅、そして、新規で紹介される案件が激減、そのうち無くなり、紹介会社からも音信不通になってしまいます。
ここで初めて、あの時の面接をもっと上手くやっておけばよかったと後悔の念が生まれてきます。ようやく本気になるのですが、すでに3か月経過。企業や紹介会社のHPに掲載されている案件に応募するも、連絡は無く、時間だけが経過していきます。
半年経過するころには、失業手当の期限も切れる頃となり、無収入の状況となります。しばらくは蓄えがあるので、大丈夫かもしれませんが、やはり焦りは止まりません。
これは最悪のシナリオですが、よく起こりがちな状況です。
そうならないためにも、自分自身をしっかりと把握し、転職先で何が出来るか、貢献できるか、という気持ちを持つことが大切です。後悔先に立たず、にならないよう、注意が必要です。