野球少年の純粋な気持ち
2013年07月17日
ある候補者からのお話です。
昨年暮れくらいから、その方の息子さんが少年野球を始めました。
きっかけは、とある出来事があり、このままでは弱い子供になってしまう、という懸念からでした。幸いなことに、クラスの仲の良い友達数名もやっているということで、半ば強引にはじめさせました。それまでは、プロ野球中継も観ず、キャッチボールすらろくにやったことがない、野球のやの字も知らない素人でした。野球を始めることで、初めてグローブを買ってもらい、すべてが初めてという状況でした。
そういう状況ですから、ろくにボールもキャッチできません。ボールを取れませんから、ボールを拾いに行くことになる、取ってきて、また取れず、また取りに行く。。。
時には、キャッチしようとしたボールが顔に直撃し、鼻血を出すこともあったようです。
そんな環境から半年が経過し、現在はそれなりの姿になってきているようです。まだ下手な部類に入りますが、試合でもスタメンで使ってもらえるようになりました。
私も野球をやっていましたから、半年でその域に行くということは、相当な努力が必要であったと想像します。私は、野球が好きでたまらない少年でした。だから、夏ともなると、昼は高校野球、夜はプロ野球と一日中野球を観ていました。近くの広場に行けば、誰かしら友達が野球をやっていたので、一緒に遊んでいました。
当時は野球がすべてという環境だったのです。
そういう環境ではないところで、それなりの形にすることは、何かのきっかけがあったに違いありません。それを父親である候補者に聞くと、その息子さんは人一倍真面目で、負けず嫌いであることが分かったそうです。それまではヘタレな性格と決めつけていましたが、父親の期待以上のたくましさを持っていたということでした。
ボールにあたって鼻血を出すということは、ボールを正面から取りにいかないと起こらない現象です。よく体をよけて、手だけでボールを取りに行き、後ろにボールをそらす子供がいますが、こういうタイプは決して上手になりません。怖がっているので、勝負できていないのです。ボールを取れたとしても、それは偶然であり、次は取れるかどうかわかりません。
体に当ってでも、ボールを取りに行く姿勢は、ボールの軌道もわかります。そうするとボールを取るコツもつかめ、次のステップへと進めます。
そういう気持ちを経て、野球が上手になっていくのだと思います。
最近は、試合でエラーをしたり、打てなかったりすると、悔しくて泣いているようです。悔しいと思う気持ちは、何にも増して、純粋であり、向上心の塊となると思います。
我々が失ってしまったのは、こういった野球少年の純粋な気持ちなのかもしれません。 その話を聞いて、私も勝負できているのかと反省してしまいました。