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謙虚な姿勢が必要

2011年09月09日

司法試験組のことです。

私は以前から法務職を得意として活動をしております。9月になると、そろそろ司法試験の合格発表だな、と思い、また、多くの相談者が出てくるだろうと頭の中がよぎってきます。
新司法試験制度は、誰もが知る、とんでもない制度であります。

法科大学院を設立してから、段階的に旧司法試験を終わらせ、今は新司法試験での合格者が中心となりました。合格率だけ見ると、旧司法試験とは比べ物にならないくらい高くなっています。超難関から、難関だけども、努力すれば報われる、という手の届く試験へと変貌を遂げたことになっています(微妙な言い回しです)。

では、簡単に制度を実例を持って整理します。ここでは弁護士に絞ります。
大学を卒業後、法曹の道に進むと決めた人たちは法科大学院へ進まなければなりません。そこで基本3年間勉強して卒業しますと、新司法試験にトライすることができます。新司法試験は、5年間で3回しか受験することができません。もしその3回で合格できない場合は、もう試験を受けることができません。

例えば、22歳で大学を卒業し、法科大学院へ進むと、卒業時には25歳になっています。そこからフルに3回受けてしまった場合は、28歳になっています。運よく合格すると、翌年は司法修習へ1年間進み、晴れて弁護士としての資格を得ることになります。29歳になっています。

当然、1回でパスすれば、それよりも若いのですが、それでも27歳でのデビューです。社会人として見たら、27~30歳は中心メンバーとして期待されてくる時期です。そしてある程度出世街道が見えてくるところです。

進む道と志が違うので、一概に比べることはできませんが、これだけ長く勉強をしないと資格を得ることができないというのは、早く働いて稼ぐという点からも良くない制度であることがわかります。ましてや、その間は納税されませんから、国家としても損失であるとも思うのです。

さて本題ですが、試験合格者はまだ資格を得ることが出来るので救われる部分もありますが、問題は落ちた人たちです。合格率は20%台ですから、単純に70~80%近くは無駄な時間を過ごしてしまった、という結果になってしまいます。厳しい現実です。

また、その合格できなかった人たちで企業法務担当者を目指したいと考える方も毎年一定数の相談を受けます。そして、その中の一部に、こう言う人がいます。

『私は誰よりも法律の勉強をしました。だから、企業法務でもいいから働きたいと思っている』

司法試験は難関な試験です。でも、それは上記で書いたリスクを背負って、自らの意思でトライしたものと思います。誰かに褒められるからやるものではありません。そこが大切であると思います。
もし法科大学院へ進まずに就職した場合は、23歳~30歳くらいまで経験を積みながら働き、お金を稼いでいます。単純計算で、年収400万であれば、2800万です。

一方、法科大学院へ進んだら、入学金と学費を入れて、私立なら450万くらいでしょう。そして3年間試験にトライした期間は働いていませんから、その間の出費と逸失利益を考えると、3000万以上の投資をしていることになります。それを無にしてしまうのです。

また、その間働いていないということは、社会人としての最低のマナーも身に着けていないということです。ある法務部長が『30歳くらいの人に名刺の渡し方や電話の受け答えを教えるのはつらい』というコメントを貰ったことがあります。会社側はそう考えているのです。

言いたいことは、それだけ自分を通しても結果が得られなかったのであれば、がむしゃらで謙虚な姿勢を持って、『働くこと』を意識すべきということです。その意志さえあれば、もともと地頭が良い人が多いので、成功するチャンスは十分あると思います。

私は毎年多くの司法浪人生に会うたび、早くこの新司法試験制度を再改革してほしいと思います。今思えば、超難関と言われた旧司法試験のほうが、フェアであったとも感じてしまいます。今はお金と時間が掛かりすぎです。このままでは日本の国力が下がってしまうと心配しています。