転職コラム

転職コラム

転職をお考えの方へ
転職コラム
採用ご担当者様へ

コンサルタント紹介

ホライズン・コンサルティング株式会社
〒104-0054
東京都中央区東日本橋2丁目28番4号日本橋CETビル2階
TEL:03-6271-0872
FAX:03-6856-2861
お問い合わせ

好きな仕事でなく、向いている仕事

2015年03月16日

唐突な話ですが、私は人材紹介業にほぼ10年携わってきており、独立起業してそれなりに頑張ってきておりますが、正直人材紹介の仕事は好きではありません。ただ一方で私は人材紹介の仕事には向いていると思っています。

なぜ人材紹介の仕事が好きではないのかと言えば、とてもつらい仕事だからです。

クライアント企業、候補者の両者を引き合わせ、企業には優秀な人材を、候補者には良い仕事を、という想いで取り組んでいるつもりですが、多くの場合、それは徒労に終わります。

お会いした企業または候補者全員に良いご縁を提供したいのですが、それは現実的に無理です。それは当然両者それぞれに思惑があり、人生があり、責任が伴うから、厳しい目で判断しなければいけないからです。当然と言えば当然で、私も候補者時代は自分の都合を優先して仕事選びをしていました。

しかし同時に、私自身のキャリアについて、関心を強く抱き、時に厳しいアドバイスをしてくれるような人材コンサルは皆無であり、とても厳しく孤独な活動であったことを覚えています。相談した紹介会社のコンサルは、私が営業だから営業の仕事を紹介した、というだけでした。マッチングなどほとんどしてくれませんでした。こういった経験からも、自分がこの仕事に就いたとき、自分がやってほしかったコンサルをやろうと決意したのでした。

そのようなポリシーを持ち、多くの顧客に接してきておりますが、案件や候補者と向き合えば向き合うほど、とてもつらい気持ちになることがあります。

人材紹介業界は、とても評判が悪いと思います。

人材コンサルも星の数ほど存在し、それぞれのモチベーションで取り組んでいます。その多くが生活が懸かっているので、クビにならないよう、数字を残そうと躍起になります。ただ前述のように企業・候補者それぞれに思惑がありますから、なかなか上手くいかない。そうすると、数字を残せないコンサルタントはどうするか?やはり荒い紹介をすることになってしまいます。

あるコンサルタントは候補者の職歴書を改ざんし、あるコンサルタントは、候補者に嘘の情報を提供し、そしてあるコンサルタントは、Refund(紹介から3ヶ月以内に退職してしまい、手数料の一部を企業に返還すること)が30%に達するなどが起こり、業界全体の評価を押し下げています。

人材紹介業の王道は確率論です。よって、人材紹介会社の経営者は行動量を求めます。そこにマッチングなどの概念も無く、ただひたすらオートマチックに推薦するのです。候補者が落ちても関係ありません。ただたくさん紹介すれば、一部が通過していきますので、下手なマッチングなどしなくて良い、となってしまいます。

当然、クライアント企業からも不信を買います。ほとんどの紹介会社は使えない、と評価されています。特に人事担当の方と仲良くなればなるほど、本音を聞かされるので、赤面する想いです。

候補者側も同じ態度をするときがあります。スカウトを送りアポとなっても、面談を断られることもしばしばです。とりあえず案件を紹介して欲しい、ということを言う候補者もある一定数いらっしゃいます。私はその都度、面談をしなければ紹介はできない、と伝えるのですが、中には悪態をつく方もいます。また、何が目的かわからない行動を取られる人、例えば、面接に遅刻する、突然連絡が取れなくなる人、なぜかコンサルタントにケンカを売ってくる人などです。

これも過去のコンサルタントの対応が悪く、最後に私のところで爆発したのかもしれません。理由が分かる人もいれば、全く分からない人もいます。

候補者とはそういうもの、ということで、俺は人を信じないよ、という先輩コンサルもいました。その方は、ビジネスを優先し、候補者と接しているため、自分の利益になる人には手厚いですが、そうでない多くの候補者に対しては辛辣です。面談しても5分程度で切り上げることもあります。これはお互いの為と言えばそうかもしれませんが、候補者はうっぷんが蓄積し、前述のように多分どこかで爆発していると思います。

人材コンサルも人の子ですから、このような評価を受けている業界、会社に身を置くことを恥と思い、短期で辞めていく人が後を絶ちません。1年以内に辞めていく人たちは非常に多い業界でもあります。

そういった人材紹介業のマーケットは、本当にストレスが溜まります。私も常に思い悩み苦しんでいます。もう辞めようと考えることも毎年、毎月、毎週、という感じです。

ただそれを解決してくれるのが、ご縁を提供した人たちの感謝の言葉であったり、ご縁は提供できなかったけれども、その後もお付き合いが出来ている候補者の存在です。

お付き合いが長い人はほぼ10年くらいです。私が送るメルマガをチェックしてくれ、たまにランチのお誘いなどもあります。そこで情報交換をし、お互いの成長を確認する、というお付き合いです。中には一度も案件を紹介したことが無い人もいます。一見無駄な行動かもしれませんが、そこで得られる情報はとても貴重だと思い大切にしています。

私はこれが出来るのが人材紹介業の魅力であると思っています。人材紹介業は候補者が企業に入社したときにいただける手数料が売り上げとなり、一度の費用は、それなりに大きな数字であります。私はその数字に見合うだけのことは提供しよう、と考えており、そのためネットワーク作りによる地道なマッチング活動を心掛けています。そして私の仕事に評価をいただければ、企業でも候補者でも紹介をいただけます。これが出来る喜びを持っている私は人材紹介業に向いている、と思うのです。

長く仕事をする秘訣と言えば、好きなことを仕事にするのでなく、給与が高いということでなく、自分に目的意識があり、仕事の結果にコミットできるかどうか、責任を果たしていると感じられるか、と考えます。仕事を続けることの意義を最近とても感じているのでした。