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直前で自分の考えを覆したために起こった悲劇

2013年10月04日

DSC_0133.JPG随分前の話です。

当時、大きな訴訟案件を抱えていた企業の法務案件に取り組んだことがあります。同社は、メディアでも報道され、大きな話題を提供していました。当初その案件の依頼があったとき、かなり難しいと感じていました。事実、候補者にお声を掛けても、ネガティブな反応が多かったと思います。

通常であれば、取り組むだけ無駄な案件、と言われても仕方が無かったかもしれませんが、私は絶対いい案件であるという確証がありました、

その企業は、メディアではネガティブな報道しかありませんでしたが、ビジネスはすぐに黒字に転換しておりましたし、多くの子会社を持ち、キャッシュも潤沢でありました。問題になった訴訟も、方向性によっては好転する可能性がありましたので、その法務部に所属すれば、大きなプロフィットが得られると考えたからです。

その信念の甲斐あって、数名法務部へ紹介でき、彼らはその企業で大活躍されました。中には、法務の責任者として短期で成長され、社内でなくてはならない存在になった人もいます。

彼らは、リスクを取り、大きなプロフィットを得ることができたのです。

しかしその中で、1人内定を辞退した人がいました。

この方は当時50歳前のベテランで、某大手製造業で訴訟案件に取り組まれた、スペシャリストでもありました。しかしながら、その製造業が縮小することで退職を余儀なくされ、郊外の小さい会社の法務担当という不遇な環境で就業されておりました。しかも、自宅からも遠距離であったため、1人小さいアパートを借り(自費)、給与も低く、生活もままならない環境でありました。

そこでこの会社を紹介し、本人も経験が活かせるので是非やりたいということで、無事内定を取ることができました。年収も以前在籍した会社の水準に回復、しかも自宅から通えるという、まさにいいことづくめでありました。私も良いご縁が提供でき、嬉しく思っていました。

ところが、入社予定一週間前に、突然辞退したいという連絡がメールで入ってきました。電話を掛けても出ず、メールを送っても返信がなかなかありません。理由もわからない状況でした。

そこで、辞退する件はわかったので、先方に説明するため、理由を教えてくれ、と連絡したところ、前職の同僚にお前には無理だ、という話をされたから、ということでした。全く納得できる理由でないので、一度話をさせてほしいと連絡しましたが、以後返事はありませんでした。

とても悔しい思いもし、クライアント企業にもどう説明していいのか途方にくれましたが、正直に話をし理解を得ることができました。幸い、同時期に良い候補者がいたので、再度ご紹介し、その方は無事入社されました。結果的に、その方のお人柄は辞退された人よりも良く、クライアント企業は喜んだので、無事乗り切れたという感じでした。

さて、この話は続きがあります。

この辞退された方は、その後、別の会社に入っていたようです。しかも、条件面は不遇だった会社と変わりません。あの場所だと二重生活が続いているはずでした。なぜこのことが分かったかというと、その方が再度転職サイトにレジュメを公開していたからです。しかも、3ヶ月で終了していました。恐らく、試用期間で終了したのでしょう。

あれだけ自分がやりたいこととマッチしていた企業を辞退して、なぜそんな会社を選択したのでしょう?私はどう推測しても結論が導けませんでした。当時の外国人の同僚も、この出来事は理解不能だと言っていた記憶があります。

その方のその後は知りませんが、あの時私が紹介した企業に入社していればこんなことはなかったのに、と少し残念な気持ちになりました。本人もすごく後悔しているはずです。

人は99%自分で決めた道を突き進むという考えを持つ一方、1%の不安があったとき、その不安を煽る人がいれば、結論を180度変えることもあるという事例でした。