楽になった言葉
2016年02月19日
転職相談を受けたとき、安定したい、ということを言う方は非常に多いと思います。生活の安定、給与の安定、仕事の安定などで、それを得ることができる会社、仕事などを志望する感じです。
これは特に農耕民族である日本人にとっては、切実な問題で、腰を落ち着けないと何も始まらないという典型例だと思うのです。事実、終身雇用が保障されていた20年くらい前までは、如何に大手で安定している会社に入社できるか、という先行逃げ切り型の人生を皆追い求めていたものです。
その為には、組織化された大手企業に入ることが必須で、そのため、偏差値の高い大学に入学することを目標にしてきたのです。
しかし現在は、絶対的な企業は数えるくらいしかありません。
大手であっても、舵取りを少し間違えるだけで、業績が急降下することもあります。更に、日本企業の優位性が失われて久しい状況下においては、新しいサービスが出てきた段階で、すぐに淘汰されてしまうので、これで安泰ということはほとんど幻想に過ぎなくなっています。
私の相談者の多くは高学歴です。そこで聞くのが、せっかくいい大学を出たのに、このような状況になって不本意、という嘆きです。子供の頃から友達と遊ぶことも、テレビを観るのも控え、恋愛も犠牲にしてきたのに、今度は就職でも苦労をする。
自分は騙された、と言った人もいました。体調も崩された人もいました。
今まで自分が信じてきたことが否定されてしまったとき、なんて人は弱いのだろう、といつも実感しています。
そんな時には私はいつも言っています。
「人生は思う通りにはいかない、だから楽しいと思いましょう」
これは先輩コンサルタントより貰った言葉で、私自身一気に肩の荷が下りたように感じた瞬間でした。
例えば、5年前の自分を振り返ったとき、今の自分を予想できるか考えてみます。ほとんどの方は、予想できていなかったと答えるはずです。
それは如何に目標を立てても、思う通りに行かないのが人生ということを物語っています。
人は自分だけでなく、周りの人、環境によっても影響を受けます。その社会との関わりの中で、自分の思う通りに物事が運ぶ方が少ないのです。目標や夢を否定している訳ではありません。人生はそういうものだ、ということなのです。
欧米人は人生はゲームである、とよく言います。
ゲームなので勝つときもあれば、負けるときもあります。でもゲームなので、例え負けても、楽しめばいいのです。
一つのことに頑なで一途であることも必要と思いますが、この言葉をどこかに持っていることで余裕を持ってほしいと思います。