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趣味・スポーツ クラブワールドカップ2011年

FWの墓場

しかしながら、このスタイルは、一つだけ大きな犠牲を払うことになります。それは、純潔なFWの否定です。

所謂、9番、と言われる彼らは、残念ながらバルセロナでは陽に当たることはあまりありません。ここ最近でそれなりにゴール数を挙げたプレーヤーは、5年前のエトーくらいしか思いつきません。エトーが去ったあと、インテルからトレードという形でイブラヒモヴィッチがやってきますが、彼も一年で去ります。その後、スペインの至宝と呼ばれるビジャが加入しますが、おおよそ彼のパフォーマンスの一部しか発揮できない状況です。

イブラヒモヴィッチが加入したときは、これでバルサは完璧な陣容をそろえたと期待されましたが、結局、彼は居場所を見つけられませんでした。ビジャはイブラとは違ったタイプのFWで、動きだしが良く、流れで点を取ることができるプレーヤーですが、全くと言っていいほど活躍できていません。これはひとえに、バルサ戦術に合っていないから、と結論付けられると思います。

イブラやビジャ、そしてサンチェスや過去在籍していたボージャンやアンリなども、いわば戦術の犠牲者になってしまった、ということになります。バルセロナは、FWの墓場と言われても仕方がないくらい、皆一様に顔が暗く、生気を失ってしまいます。

点を取ることがFWの仕事ですが、そのFWを頼りにしていないのが、今のバルセロナであります。ゴール前でペナルティを貰っても、直接ゴールを狙えなければ、すぐに横パスをしてボールを回しますし、ただ単にサイドからクロスを上げるということもやりません。ましてプレミアリーグのように、DFがボールを奪ったら、大きくボールを蹴りだすようなスタイルもありません。

戦術と技術が伴っていれば、フィジカルなども関係ないので、バルセロナの選手は皆170㎝前後です。大きいことが武器にならないスタイルなのです。

このことから、組織化しているが、その哲学に合うものだけが選ばれる、というチームなので、他チームで活躍しているからといって、バルセロナで活躍できるかどうかは簡単ではないということになります。

そこで疑問に思うのが、メッシはとてもスーパーな選手であり、エゴイスト的な9番と言えるのではないか、ということです。確かに昨季は50ゴールを達成し、現在も35ゴールを量産しています。他のリーグであれば、これだけで既に得点王です。

しかしあくまでもメッシは最終ゴールゲッターということにすぎず、もしメッシが不在の場合は、誰かがその役割を担うことになるだけ、というのがバルセロナです。当然、メッシのような活躍が出来る人材がいるかという議論はありますが、言いたいことは、メッシがいる限り、他のどんなチームのスタープレーヤーがきても、この役割は回ってこないということなのです。 

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