趣味・スポーツ 『永遠のゼロ』を読んで
太平洋戦争に対する、小さい記憶
大変考えさせられた小説でした。
簡単に言えば、神風特攻隊の物語なのですが、主人公である宮部久三氏が太平洋戦争の初期から参加していたということもあり、この戦争全般をたどることが出来る内容となっています。
もともとのきっかけは、あるテレビ番組で紹介され、とても良い内容であるということだったからです。興味もあり、また、以前から特攻隊については関心が高かったので、読んでみようと思ったのです。とても面白く、あっという間に読んでしまいました。
ストーリーは、司法試験に失敗し続けている司法浪人生が、ふとしたきっかけで自分のお祖父さんが血のつながりがないことを知り、本当のお祖父さんは宮部久三氏であり、特攻隊員として戦死したことを知ったことで、その人生について調べるというものです。
調べ方としては、過去に久三氏と一緒に戦った人たちを訪ね、その記憶をインタビューをするというものです。そこでこの戦争の悲惨さを知ることになります。
私は太平洋戦争というものは、日本がアメリカに負けた、ということを小さいころから聞いていました。私が小さいころは、戦争体験者は身近におり、例えば、祖父や祖母、そして学校の先生など、それぞれの視点で話をしてくれました。
勇ましい感じで話をしたのが祖父と小学校の先生でした。
父方の祖父の話は簡単にしか覚えていません。自分が戦争に行っていた頃は、日本は勝っていた。じいちゃんが戻ってきてから、負けてしまったのだ、と。当時は小学校一年生でしたから、興味本位でしか聞いていませんでした。だから記憶も曖昧。
あるとき父に、じいちゃんは空軍だったんだよね?と聞いたら、アホ、陸軍や、と訂正されるくらいの曖昧さでした(笑)。ちなみに父は昭和15年生まれでしたから、疎開はしていたようでした。戦後、食糧難であったため、食材に偏りがあったということで、よくクジラを食べていたということでした。
父はクジラ肉は、当時を思い出すのであまり好きではない、ということを言っていたと思います(クジラ肉も、最近は食べられませんけど)。
小学校の先生で、5年生の担任は、よく戦争について話をしてくれました。年齢的には、恐らく父よりも10歳ちょい年上であったと思うので、当時でいうと、15歳~18歳。戦争は身近であったと思います。
あの戦争は間違いであった、という切り口はあったのですが、帝国陸軍海軍という言葉も出ていたと思いますし、ミッドウェー海戦で敗れたことを、何度も口惜しく話をしていたと記憶しています。