趣味・スポーツ 『永遠のゼロ』を読んで
映画を観ての感想
映画は大変良いものでした。両隣の女性は泣いていました。私も映画を観終わった後でも、何度も思い出します。演出としてはとてもよくまとまっていたと思います。
ただ、原作を読んでいる私としては、ちょっと物足りなさがありました。言い換えれば、原作を読んでいなければ、もっと感動していたと思います。物足りなさは何かといいますと、ひとつとしては、残酷さがもう少し欲しいというところです。
原作を読んだとき、特攻のせつなさ、はかなさを強く感じ、この当時に思いをはせれば、特攻隊員たちは絶望以外の何物でもなかったと感じました。映画のセリフでもありましたが、九死に一生であれば、全力を尽くすことができるが、十死にゼロ生であれば、絶望しかありません。選択肢がない最悪の作戦でした。
映画では、その部分は描けていたと思います。ただ、もう少しその部分にこだわってもいいか思いました。逆にこだわっていた箇所が、宮部久蔵氏亡き後、その奥さんと子供を面倒見る大石賢一郎氏との場面で、私はその箇所が長いように思ってしまいました。
個人的にはそういう感想でしたが、話の流れを考えると、この場面の動機づけは非常に大切であり、恋愛感情をしっかりと表現しなければ、話自体が成り立たないとも思います。
総じていうと、本の分量に対して、映画は短い、ということなのでしょうか。
坂の上の雲のように、3年に渡って合計12話という作りのほうが良かったかもしれません。なにせ、太平洋戦争開始から終戦までが小説の範囲ですからね。
映画としてはとても良いものでした。特にラストシーンは、原作よりも生々しい表現が出来ていると思います。もしまだ観ていないのであれば、是非観に行くことをお勧めします。