Wanderlust 勝どきで働くヘッドハンター、小林毅の公式ホームページ

▼ 旅・歴史

▼ 趣味・スポーツ

▼ LIFE

LIFE 経営者インタビュー~小松俊明氏~

大学での仕事

H:そして今は大学教授となった。

K:あるとき知り合いの方より、これからの大学教育の現場には、キャリア教育やグローバル教育がもっと必要になっていく、という話を聞きました。興味深い話でありましたし、自分に取ってそれまでの国内外の経験を活かし、かつ新しいチャレンジも出来ると考えて、公募に応募してみようと思ったのです。その結果、東京海洋大学とのご縁が生まれました。

H:実際のお仕事はどんな感じですか?

K:当初は、大学院の博士後期課程で学ぶ学生やポスドクの方々向けのキャリア教育を行うことが役割でした。半年が経った頃、学部のグローバル教育も兼任することになりましたが、2013年4月からは学部のグローバル教育専任となりました。

H:小松さんは最近、よく海外出張されていますが、これも大学でのお仕事ですか?

K:そうなんです。大学のグローバル人材育成推進事業担当の特任教授として、グローバルキャリア入門という学部1年生・2年生向けの授業、及び海外派遣キャリア演習という学部2年生以上向けの実習型授業を担当しています。2013年は、この授業のプログラム開発のために、年間100日以上を海外で過ごしました。出張先はアジアが中心で、これまでのところシンガポール、タイ、台湾、香港、深圳、広州などに訪問を繰り返しています。

H:そこでのお仕事は?

K:学生達を1ヶ月間海外に滞在させるのですが、そのためのプログラムを作っています。プログラムの目的は、グローバル人材を育てることです。おかげさまで、やりがいをもって取り組んでいます。

例えば、シンガポールでは4つのグローバル企業から新商品開発などの課題を頂きます。学生達は、海外の大学や企業を訪問してインタビューやアンケート調査を行い、その結果をまとめて分析の上、企業に提案を英語でプレゼンテーションします。私は担当教員として、企業の選別やプロジェクト内容の設定、学生への指導、最終的なプレゼンテーションの評価などをしています。出張を繰り返している理由は、協力企業の開拓からプログラム内容の開発、宿泊先やその他訪問先の選定、在外日本大使館や日本商工会議所、海外大学への広報活動や業務提携などを行っているためです。国境を越えて産学連携を深めるための人脈構築に一番尽力しています。

H:ユニークな取り組みですよね。学生はどのように選抜するのですか?

K:初年度であった2013年度は、春・夏で合計20名、2014年は32名を選抜します。最終的には毎年48名の学部生を選抜する予定です。選抜の基準は、まずは英語が最低でもTOEIC600点以上あることですが、重要なのは本人の志望動機であり、参加に対する意欲を確認することになります。それまでに海外経験がない学生でも大丈夫です。グローバル人材として活躍できるだけの素養を持ち合わせている学生が結果的に選抜され、実際に現地でも大きな成果を出してきました。学生達のやる気を尊重しています。

H:これは海外の大学への研究室派遣とは違いますね。

K:はい、全く異なります。海外の大学の研究室に学生を派遣することは、主に教員のつてを使って海外の大学に学生を預けることになります。研究室派遣は、あくまで異なる海外の大学で授業や実習を行うことを目的としている訳ですが、私が担当している海外派遣キャリア演習は、企業社会での就業体験や、いわばMBAの授業のようなビジネスをテーマとしたフィールドワークをすることがメインの活動になります。そうした点では、従来型の大学教育からはかなり逸脱しているのかもしれませんが、実はこうした実践的なキャリア演習は、欧米の大学では当たり前のことです。日本の大学教育に一石を投じるという意味でもやりがいを感じていますよ。幸い、企業からの評価も高く、富士ゼロックス、伊藤忠商事、リコー、ジョンソンアンドジョンソン他、多くの名だたる有名企業にご協力頂いています。