LIFE 経営者インタビュー~松原伸禎氏~
独立へのきっかけ
H:ではどの段階で独立をしようと思ったのですか?
M:あるとき、両親の紹介で、地元である杉並の納税団体の仕事でHPを作ってほしいという依頼が入ったんです。この話を会社に持って行ったところ、会社では受注できないからお断りしなさい、という判断になったんですが、話を持っていた地点で私はやります、とすでに返事をしていたので、断れない状況でした。だったら、個人で対応しましょう、ということで仕事をしました。
H:なるほど、もうすでに受けていたんですね(笑)。
M:そうなんです(笑)。先に返事してしまっていたので、後には引けない状況でした。するとその仕事が終わるころには、今度は団体に加盟しているお店からの依頼も入るようになりました。潜在的なニーズはとても高いと感じましたね。
この仕事は、会社での仕事とは違い、自分の意見を全面に反映できることができたので、とても面白いと思いました。自己実現できたような気持ちになりましたね。
H:そうすると、自分で仕事を主体的にしたいという欲求がでてきますよね。もうこのころには独立しようと考えていたのですか?
M:会社にもやりがいを持っていましたよ。当時の所属していた会社の上司は、知識経験ともとても豊富な方でした。私より5歳くらい上の方ですが、その方に追いつき追い越せ、という気持ちが強かったです。そのために、色々なメルマガなどを読み、そこから知識構築を図っていたのですが、その中で週末起業という言葉を知ったんですね。ああ、自分のやっていることは、週末起業というのか、とその時に意識をしたのです。
それまではセミナーなどはあまり興味がなかったのですが、週末起業のセミナーに行ってみようと思い、そこで出会いがあったんです。
H:どのような出会いですか?
M:週末起業を推進している方に、私のビジネスのお話をしたところ、その方のビジネスを手伝ってほしいと依頼を受けたのです。その方が週末起業フォーラムという団体を作ることになったので、HP作成などを手伝ってほしいと。今では2000人規模の団体にまで成長はしていますが、当時は100名規模でした。HP作成だけでなく、事務局業務などもお手伝いするようになりました。問い合わせ対応やセミナー出席者リストを作ったりと仕事が増えていきましたね。
そうするとこのときは副業と考えていた仕事が本業並に忙しくなってきて、会社に週5日行くことができなくなっていました(笑)。
H:そうなると、一般社員としては難しくなりますよね。
M:はい。そこで会社に交渉して契約を切り替えてもらい、週4日出勤でいいという条件になりました。よく条件を呑んでくれましたよ(苦笑)。
H:何となく、段階的に会社からフェードアウトするイメージですね。
M;そうですね。ただ、決定的だったのは、当時目標としていた上司が転職したことでした。目標が無くなったという感じですね。
H:大きなきっかけですよね。
M:会社はとても楽しかったですよ。でも自分も成長していたので、次のステップを意識しましたね。
H:2006年に法人化されますが、それまでは個人事業主として事業を営んでいたのですね?
M:そうです、始めは一人で事業をスタートしました。自宅をオフィスとして、業務を請け負っていましたが、1年くらいすると、業務量も増え、一人ではできなくなってきました。一人で自由にできることの限界を感じ、まずはアルバイトを雇うことにしました。そうなるともう自宅では難しいので、近くに事務所を借りることにしました。とても狭いところで、日当たりも悪く、家賃も3万5千円くらいのところでした。私は良かったのですが、アルバイトの方は良くやってくれたな、と思うくらいの劣悪な環境でした(苦笑)。
H:その後は毎年受注が増えていくことになるのですね。
M:当初は、地元の商店街関連と週末起業フォーラムの仕事が中心でしたが、そのうち、フォーラム参加者の本業の仕事の受注を受けるようになりました。ネットワークも広がってきましたね。
H:法人化に切り替えようと思ったタイミングもこの頃ですね。
M:顧客企業から法人でないと取引先リストに載せられないので、法人化してみてはどうか、というお話を受けるようになりました。また売り上げも上がっていくと、個人事業主よりも法人のほうが良いということも多いので、自然の流れで法人化しました。そのときは4名くらいの体制になっていました。
H:会社名はいつ決めたのですか?
M:個人事業主での届出の段階で考えていました。自分の名前をもじった会社名ですけど。
H:スモールビジネスとして始めて今の規模になっていますが、将来はどのくらいの規模まで考えていますか?
M:自分がマネージできる部下というのは7名8名くらいが限界だと思うんですね。これ以上の規模とする場合は、マネジメントできるディレクターを育てないといけないと思っています。人材育成ができれば、規模も大きくなると思うのですが、なかなか簡単ではないですよ。
H:それでも顧客企業からの要望もありますよね?
M:そうですね。だけども、高い品質のサービス提供を第一に考えているので、しっかりと段階を踏まなければいけないと考えています。